目次
1.基本情報
傷病名 自閉スペクトラム症(発達障害)および抑うつ状態、不安障害
受給が決定した等級 3級
受給が決定した金額 60万円
2.申請前の状況
発症と経過
申請者様は幼少期より他者との関わりが苦手で、集団活動において指示が理解できず、周囲から浮いてしまう傾向がありました。
学校では会話のズレや空気を読めない発言が目立ち、いじめを受けた経験もありました。
高校卒業後は一般企業に就職しましたが、上司や同僚との人間関係で強いストレスを感じ、ミスが重なって叱責を受けることが多くなりました。
勤務を続ける中で、不安や動悸、出勤前の嘔吐などの身体症状が出現し、医療機関を受診。
精神科で「自閉スペクトラム症」と診断され、環境変化に伴う不安や抑うつ症状も指摘されました。
日常生活への影響
診断書上では、「金銭管理」「他人との意思伝達」「対人関係」「社会性」「安全保持」の各項目において、助言や指導を受けても適切に行うことが難しい状態と評価されていました。
- 買い物では目的の物を忘れて帰る
- 約束や予定の変更に対応できない
- 相手の感情を読み取れず、トラブルを招く
- 社会的な距離感を取れず、孤立傾向
これらの特性により、母親のサポートがなければ日常生活の多くが成り立たない状況でした。
就労状況
高校卒業後に就職したものの、長期間の勤務は難しく、注意欠陥やこだわりの強さからミスが続きました。
上司の指示に柔軟に対応できず、社内での人間関係が悪化。最終的には休職・退職を繰り返すことになりました。
職場での記録によれば、本人は真面目で責任感がある一方、突発的な変更やプレッシャーに対応できず、動揺からパニックを起こすこともありました。
これらのエピソードは、後に「労働に著しい制限がある状態」として障害等級3級の認定判断に大きく寄与しました。
申請を決意したきっかけ
仕事の継続が難しく、抑うつ状態が悪化したことから、主治医の勧めで障害年金の申請を検討。
障害認定日時点(初診から1年6か月後)の状態がすでに重度であったことを主張するため、障害認定日請求による申請を行いました。
3.申請の経緯
初診日の確認
初診日は、精神的な不調が明確になり医療機関を受診した時点とされました。
診療録・受診証明書・お薬手帳の記録により、初診日の客観的裏付けが取れたため、申請手続きは円滑に進みました。
申請時の主な課題
発達障害の場合、知能指数(IQ)が正常範囲でも「日常生活の困難さ」が評価されにくく、障害認定日における等級認定が難しい点が課題でした。
特に、表面上は落ち着いて見えるが、内面的には強い不安・混乱・社会的不適応を抱えているため、医師の診断書だけで生活実態を十分に伝えることが困難でした。
書類作成
次のようなポイントを重点的に記載しました。
- ASD特性による社会的行動の障害(意思伝達・対人関係・社会性)
- 一人での生活が不可能な程度の援助依存
- 継続的な就労が困難な状態(適応障害・抑うつを伴う)
また、職場での具体的な困難(注意されても理解できず同じミスを繰り返す、報告・連絡・相談ができないなど)を時系列で整理し、診断書の内容と整合性を取るように作成しました。
3.当事務所のサポート内容
当事務所では、初回申請での障害認定日請求において、以下の支援を実施しました。
診断書と生活実態の整合確認
「社会性」「意思伝達」「金銭管理」などの評価項目で、支援がなければ生活が成り立たない実態を明確化しました。
病歴・就労状況等申立書の作成支援
本人・家族からの詳細な聞き取りを行い、生活・就労両面での困難を具体的に記述しました。
「在職中のメモ」「職場からの指導記録」などの補足資料を整理し、社会的適応困難を客観的に裏付けました。
初回審査を意識した提出戦略
発達障害の審査では、診断名だけでなく「支援がなければ日常生活を送れない」という実態を中心に評価されます。
そのため、医師の所見と申立書の表現を統一し、審査側が矛盾を感じない一貫性のある資料を整えました。
4.結果と現在の状況
認定結果
初回申請の結果、請求人様の障害認定日(初診から1年6か月後)における状態が、
障害厚生年金3級に該当すると認定されました。
その後の状態(裁定請求日時点)では症状が進行しており、事後重症では2級相当と判断されましたが、
今回の認定により、障害認定日からの遡及受給が決定しました。
生活の変化
障害年金の受給が決定したことで、生活費・通院費の負担が軽減され、
家族の介護的支援を受けながら、安定した生活を送れるようになりました。
また、就労移行支援事業所を利用し、再び社会参加を目指す取り組みも始まっています。
5.申請を検討している方へのメッセージ
自閉スペクトラム症や発達障害は、外見や言葉の流暢さから「軽い」と誤解されやすい一方で、
社会的な場面では深刻な困難を伴う障害です。
知能指数が高くても、日常生活に援助が必要で、社会生活が自立して行えない場合には、
障害年金の対象となることがあります。
「障害認定日では該当しないと言われた」
「働けるから対象外だと思っていた」
そのような方でも、実際の困難さを適切に立証すれば、初回申請から遡及認定を受けることが可能です。
当事務所では、生活状況の整理・申立書作成を通じて、
ご本人の「本当の困難さ」を制度上正しく評価してもらうサポートを行っています。
諦めずに、あなたの努力と生活の現実を正しく伝えましょう。
私たちは、発達障害の方の社会的自立と生活の安定を全力で支援します。
