目次
1.基本情報
- 年代: 20代
- 障害の種類: 統合失調症
- 年金の種類:障害基礎年金
- 等級: 2級
2.申請前の状況
請求人様は、明確な発症時期は不明でしたが、幼少期または10代の頃から幻覚、妄想、不眠といった精神症状が見られていた可能性がありました。記録によると、症状の悪化により精神科の医療機関を複数回受診し、入院歴もあったとのことです。特に、14歳頃に幻覚妄想状態で初診を受け、その後も入退院を繰り返されていました。
就労状況に関しては、短期間の職歴はあるものの、安定して長続きした職務経験はなく、実用的な労働能力はない状態でした。
日常生活では、ご両親に経済的・精神的に依存した生活を送っていましたが、両親との関係は不仲であり、孤立感を深めている状況でした。具体的な影響としては、食事の準備や身辺の清潔保持、金銭管理、買い物といった基本的な生活活動において、自発的に適切に行うことが難しく、常に助言や指導を必要としていました。また、他者との意思伝達や対人関係の構築、身辺の安全保持や危機対応、社会性といった面においては、助言や指導があったとしても困難な状況が見られました。服薬についても、おおむね可能ではあったものの、時には助言や指導が必要となることがありました。病状が悪化すると、言動が支離滅裂になり、徘徊したり、窓を開け放ったりするなどの奇異な行動が見られ、全てを拒絶したり、服薬を拒否したりすることも頻繁に起こる状態でした。平時でもラポール(信頼関係)が築きにくく、感情の平板化も顕著で、服薬時には病感はあるものの病識(自身の病気を認識する能力)は欠如していると指摘されていました。このような状態から、日常生活において多くの援助が必要と評価されていました。
このような状況の中、将来への不安から障害年金の申請を検討し始めました。
3.申請の経緯
請求人様が障害年金を申請するにあたり、最も大きな課題となったのが「初診日」の特定でした。請求人様は20歳未満だった頃の「平成22年3月」を初診日として主張されていました。しかし、この日の受診に関しては、精神疾患による受診であることを客観的に確認できる資料が不足しており、また、その日の受診に関する受診状況等証明書が添付できないという困難がありました。
4.当事務所のサポート内容
障害年金申請において初診日の証明は非常に重要であり、特に古い時期の発症や複数の医療機関を受診している場合、その特定と証明は専門的な知識と経験を要します。 当事務所は、この困難な課題に対し、以下のようなサポートを提供しました。
初診日特定のための徹底的な資料収集支援
請求人様が主張する初診日に関する情報が不足している状況で、当事務所は、医療機関の診断書、診察券、入院保証・誓約書、確約書、受診状況等証明書など、様々な関連資料を分析しました。特に、過去の入院記録や診察券に記載された「「平成22年3月初診」という情報に着目し、この日が「初診日認定適格資料」として最も証明力の高い日付であると判断しました。
医療機関との綿密な連携と診断書作成
複数の医療機関からの情報に加え、請求人様の病歴や就労状況に関する申立書の内容を精査しました。診断書に記載された病状や日常生活状況が、請求人様の実際の状態を正確に反映しているかを確認し、必要に応じて医療機関に連絡と確認を行いました。特に、統合失調症の具体的な症状である幻覚妄想状態、思考形式の障害、奇異な行為、拒絶・拒食、滅裂思考、徘徊、感情の平板化といった状態が、日常生活能力にどのように影響しているかを整理しました。
複雑な病歴の整理と整合性の確保
期間にわたる精神疾患の病歴は複雑になりがちです。当事務所は、発病から現在までの治療経過、入院歴、服薬状況、就学・就労状況などを時系列で丁寧に整理し、各医療機関の記録との整合性を確認しました。これにより、当初主張された初診日の証明が困難な場合でも、より確実な初診日を特定し、請求手続きを進めることができました。
裁定請求書一式の作成と提出の代行
初診日認定適格資料の定義や、相当因果関係の解釈など、専門的な見地から説得力のある主張を整理し、裁定請求書一式を作成し、提出しました。
5. 結果と現在の状況
結果、提出された複数の資料を総合的に判断され、20歳未満であった、平成22年3月を初診日として認められました。この初診日において、20歳未満発症のため保険料納付要件は不要であり、また、請求人様の統合失調症による障害の状態が国民年金法施行令別表に定める障害等級2級に該当すると判断されました。
現在、請求人様は障害基礎年金を受給できるようになり、経済的な負担が軽減されました。これにより、ご自身の病状と向き合い、療養に専念できる環境が整い、少しずつでも生活の改善に向けた取り組みができるようになりました。
6.申請を検討している方へのメッセージ
障害年金の申請は、初診日の証明から診断書の内容、そして複雑な審査基準まで、多岐にわたる専門知識と細やかな対応が求められます。特に精神疾患の場合、ご自身の症状や日常生活への影響を客観的に伝えることが難しく、初診日に関する記憶が曖昧であったり、医療機関の記録が残っていなかったりするケースも少なくありません。
私たち障害年金申請代行の専門家は、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適な戦略を立て、複雑な手続きの証明プロセスや請求書類一式の作成・提出までサポートいたします。 請求人様が安心して療養に専念できるよう、私たちがお力になります。まずは、お気軽にご相談ください。
