目次
1. 基本情報
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年代:30代
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障害の種類:気分変調症
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年金の種類:障害基礎年金
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受給等級:2級
2. 申請前の状況
症状の発症と経過
申請者様は、数年前から仕事や家庭のストレスを背景に不安や恐怖感を感じるようになり、抑うつ気分や意欲低下、思考の制止、体のだるさといった症状が現れるようになりました。症状は良くなったり悪くなったりを繰り返し、悪化時には被害的な思い込み(被害関係念慮)や衝動行為も出現し、安定した生活が難しくなっていました。
就労・日常生活への影響
発症以降は就労状況が不安定で、転職・休職を繰り返す状態が続き、特に近年はほとんど働くことができなくなっていました。
日常生活では抑うつ気分と身体的不調が強く、家事すら困難なことがありました。記憶力や判断力の低下が顕著で、家族の助言がなければ食事や入浴など基本的な生活動作も難しい状態でした。社会的な適応力も低く、第三者との交流はほとんどなく、医師の評価では「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」というレベルの困難さが指摘されていました。
こうした深刻な症状が続く中で、経済的な不安を抱えた申請者様は、生活の安定を図るため障害年金の申請を決意されました。
3. 申請の経緯
初診日特定の大きな壁
障害年金の受給には、障害の原因となった病気で最初に医療機関を受診した日(初診日)を証明する必要があります。
しかし、申請者様が初めて受診した医療機関はすでにカルテの保存期間を過ぎており、診療録が廃棄されていたため、初診日を証明できる資料がないという深刻な問題に直面しました。
このため、当初は「初診日が確認できない」という理由で、障害年金の裁定請求が却下されました。
代替資料による立証
当事務所はこの困難な状況を打開するため、医療機関や申請者様の協力を得て、以下のような代替資料を収集しました。
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医師による第三者申立書(第三者証明)
初診当時の医師から、当時の診察内容や処方内容に基づき「強い不安や不眠を訴えて受診された」との証明を得ました。カルテはなくとも、薬の処方歴から初診日を推定できる旨の意見が示されました。 -
医療機関の領収書
初診日に実際に診療を受けたことを示す領収書を提出しました。 -
処方説明書・調剤記録
初診日当日に抗不安薬や睡眠導入剤、漢方薬などが処方されていたことを示す記録を提出し、精神疾患による受診であったことを補強しました。
これらの証拠により、申請者様が初診日に精神疾患で受診した事実が裏付けられ、初診日が公式に認定されました。加えて、初診日の時点で国民年金保険料の納付要件も満たしていることが確認されました。
障害状態の審査
初診日が認められた後は、障害の程度が審査されました。
診断書では、日常生活能力の多くの領域で「助言や指導があればできる」または「助言があってもできない若しくは行わない」と評価されており、身辺の清潔保持や危機対応も家族の援助なしには困難でした。社会性の欠如も顕著で、精神症状が日常生活に深刻な支障をきたしていることが示されました。
審査の結果、これらの障害の状態が国民年金法施行令別表に定める障害基礎年金2級の程度に該当すると判断され、裁定請求段階で受給が認められました。
4. 当事務所のサポート内容
当事務所は、初診日の特定が最大の課題となる本件に対し、次のような支援を行いました。
初診日証明に向けた徹底支援
申請者様から詳細なヒアリングを行い、初診当時の状況を正確に整理しました。医療機関への照会や第三者証明の取得を含め、証拠となり得る全ての資料を探索・収集しました。
法的・医学的な専門知識を活用した助言
初診日認定においてどの資料が証拠能力を持つのかを精査し、行政審査に有効な論拠を整理しました。診断書の内容や日常生活の状況についても、審査基準に沿った適切な主張が行えるように指導しました。
申立書の作成支援
現在の障害状態だけでなく、発症から申請に至るまでの経緯や生活の困難さを、審査担当者が理解しやすいように具体的かつ説得力のある文章でまとめました。
審査対応
書類不足による初回の却下処分にも諦めず、追加資料を提出し、裁定請求段階での受給認定を勝ち取るまで一貫してサポートしました。
5. 結果と現在の状況
認定結果
初診日の特定が認められ、障害基礎年金2級の支給が決定しました。
受給額
具体的な金額は個々の状況によって異なりますが、2級認定により生活費や治療費の経済的負担が大幅に軽減されました。
生活の変化
年金の受給が決まったことで、治療を継続しながら安定した生活を送るための基盤が整い、精神的にも安心感が得られたと考えられます。
6. 申請を検討している方へのメッセージ
障害年金は、病気の発症から長い年月が経っている場合や、当時の医療機関のカルテが残っていない場合、初診日の証明が難しく申請を諦めてしまう方も少なくありません。
しかし、この事例のように、領収書や処方記録、当時の医師や家族の証明など、代替資料を総合的に判断してもらえるケースもあります。
初診日の証明は専門的な知識と根気強い調査が必要です。私たちのような障害年金申請代行の専門家に相談することで、複雑なケースでも道が開けることがあります。
どうか一人で悩まず、専門家にご相談ください。あなたの安心した療養生活を支えるため、私たちが全力でサポートいたします。
