目次
1.基本情報
- 年代: 40代
- 障害の種類: 統合失調症
- 年金の種類: 障害厚生年金
- 等級:2級
2.申請前の状況
申請者様は、高校生の頃から「人からどう思われているか不安で視線恐怖を感じるようになった」と自覚症状が現れました。その後、高校卒業後に就職するも、他人の視線や自分の体臭が気になり始め、精神的に不安定になり、「自分に悪口を言われているように感じる」といった幻聴が出現し、会社に行けなくなりました。
当初は「視線恐怖症」「被害妄想」と診断され、統合失調症の薬を処方されていたとのことです。しかし、その後も症状は改善せず、仕事も長続きせず、複数の医療機関を受診する状況が続いていました。そのため当事務所への相談となりました。
3.申請の経緯
このケースで最も大きな課題となったのは、「初診日の特定」でした。障害年金の申請には、障害の原因となった傷病で初めて医師の診察を受けた日(初診日)を証明する書類が不可欠です。申請者様は、初診日をA神経内科の受診と主張されていましたが、この医療機関のカルテは残っておらず、初診日を直接的に証明する資料が不足していました。
審査では、初診日に関する証明力の高い資料として、以下のものが重視されます。
- 直接診療に関与した医師や医療機関が作成した診断書や診療録
- これに準ずる証明力のある資料
申請者様のケースでは、初診を主張する医療機関の資料が得られない中、当事務所は他の医療機関の受診記録を詳細に調査しました。その結果、以下の資料が見つかりました。
- B精神科が作成した診断書
- B精神科が作成した受診状況等証明書
- C病院の初診カード
- C病院の診療録
- C病院の患者管理コンピュータ画面
これらの資料を精査したところ、C病院の初診カードには「4年前、A神経内科で診察を受けた」「人の目が気になる、口臭が気になる」という記載があり、診療録にも同様の記載がありました。また、B精神科の受診状況等証明書には、発病から初診までの経過として「平成〇年からA神経内科に通院」と明記されていました。
これらの情報を総合的に踏まえ、A神経内科を初診として請求いたしました。
4.当事務所のサポート内容
当事務所は、初診日証明の困難さに直面している申請者様の状況を深く理解し、多角的な視点から証拠収集を支援しました。
詳細なヒアリングと病歴整理
申請者様からの丁寧なヒアリングを通じて、症状の発症時期や受診歴、医療機関の情報を細部にわたって整理しました。特に、記憶が曖昧な点については、関連する出来事や時期を紐解きながら、可能な限り情報を引き出しました。
医療機関との連携
複数の医療機関に対し、初診日を証明するための資料(カルテ、受診状況等証明書、診断書など)の開示を請求し、情報収集に尽力しました。特に、カルテが残っていない医療機関については、他の資料で代替できるものがないか粘り強く確認しました。
専門家としての意見書作成
収集した複数の資料に基づき、初診日が確かに申請者様の主張する時期であることの根拠を専門的な見地から提示しました。各資料間の整合性を検証し、論理的な裏付けを行うことで、審査における信頼性を高めました。
裁定請求書一式作成
上記の詳細な証拠と主張を添えて裁定請求書一式を作成し提出しました。
5.結果と現在の状況
- 認定結果: 障害厚生年金2級の支給が決定
- 受給額: 受給年金額約100万円
- 生活の変化: 障害年金を受給することで、経済的な不安が軽減され、治療に専念できる環境が整い、より安定した日常生活を送ることが可能になります。
6.申請を検討している方へのメッセージ
「初診日の証明が難しい」「複数の医療機関を受診していて、どこが初診日か分からない」といったお悩みをお持ちの方も、決して諦めないでください。私たちの事例のように、直接的なカルテが残っていなくても、複数の間接的な資料や詳細な病歴整理を通じて初診日を立証できる可能性があります。
障害年金の申請は複雑ですが、専門家のサポートを得ることで、そのハードルは大きく下がります。私たち障害年金申請代行のプロフェッショナルが、皆様の受給への道のりを丁寧にサポートいたします。
