目次
この事例は、発達障害特有の初診日特定の問題に直面し、カルテの廃棄など困難な状況にあったものの、新たな証拠の提示と主張によって初診日が認められ、障害基礎年金受給に至ったケースです。
1.基本情報
- 年代: 20代
- 障害の種類: 注意欠如多動性障害
- 年金の種類: 障害基礎年金
- 等級: 2級
2.申請前の状況
申請者様は、幼少期から注意欠如多動性障害による特性を抱えていました。忘れ物が多い、片付けが苦手、他人の意見を聞かずに一方的に話す傾向があるなど、日々の生活や対人関係で困難を経験していました。この障害が原因で、社会的差別や排除を経験し、精神的に追い詰められ、高校卒業後にはうつ病を発症し、通院や入院を繰り返していました。申請者様は、自身の障害は先天性のものであるにもかかわらず、初診日の証明が難しいという現行制度の課題に直面していました。そのため当事務所へのご相談の運びとなりました。
3.申請の経緯
申請者様の初診日は、当時のカルテが廃棄されていたことや、通院証明書も医療機関のシステム更新に伴いデータが反映されていないという状態でした。そのため、相談の上色々と情報を精査確認したところ、新たに電子カルテ及び医事システム画面のハードコピーが存在し、そこから初診日を整理しました。この資料により、申請者様が精神症状を訴えてAメンタルヘルス科に初めて受診した日が認められるものでした。たとえ当時の正確な傷病名が不明であっても、この精神症状での受診が、現在の注意欠如多動性障害やそれと相当因果関係のある傷病の診療対象であったと合理的に推測できると判断しました。この初診日認定により、申請者様は国民年金の被保険者資格を取得していた期間に初診日があることが認められ、障害基礎年金の受給要件を満たし得る状況と判断しました。
4.当事務所のサポート内容
初診日特定は、障害年金申請において最も重要かつ困難なステップの一つです。特に発達障害のケースや、長期間前の受診でカルテが廃棄されているような場合、当事務所では以下の支援を提供しています。
緻密なヒアリングと病歴整理
申請者様の幼少期からの生育歴、病歴、受診歴、学歴、就労歴などを詳細にヒアリングし、初診日の手掛かりとなる情報を多角的に収集します。
証拠資料の探索と収集支援
カルテがない場合でも、診察券の写し、健康診断記録、お薬手帳、精神保健福祉手帳の申請記録、学生時代の記録、さらにはご家族や友人からの第三者証明など、間接的な証拠となりうる資料を徹底的に探し、収集をサポートします。今回の事例のように、電子カルテのハードコピーなど、通常では思いつきにくい資料の可能性も探ります。
初診日特定戦略の立案
収集した情報に基づき、障害年金制度の要件に合致する初診日を特定し、その根拠を明確にした主張戦略を立案します。
審査機関対応支援
複雑な請求手続きをお客様の主張を整理し、認定基準など基づいてサポートします。これにより、お客様は手続きの負担から解放され、安心して審査の結果を待つことができます。
5.結果と現在の状況
当事務所が整理主張した初診日が認められ、障害基礎年金の支給が認められました。この結果は、粘り強く証拠を探し、主張を続けることの重要性を感じさせます。また、障害年金の受給により安心して療養が出来る環境になりました。
6.申請を検討している方へのメッセージ
注意欠如多動性障害のような発達障害は、生まれ持った特性であるにもかかわらず、その症状が「病気」として認識され、医療機関を受診するまでの期間が長くなりがちです。また、長期間の経過の中で医療機関が閉院したり、カルテが廃棄されたりすることは珍しくありません。
しかし、今回の事例が示すように、諦めずに他の資料を探したり、新たな証拠を提出したりすることで、初診日が認められ、障害年金受給への道が開けることがあります。
障害年金申請は、特に初診日特定が難しい場合に専門知識が不可欠です。私たち障害年金申請代行の専門家は、お客様一人ひとりの状況を丁寧に把握し、最適な証拠収集と主張展開をサポートします。あなたの「困った」を「できた」に変えるために、ぜひご相談ください。
