目次
1.基本情報
- 年代: 40代
- 障害の種類: うつ病
- 年金の種類: 障害厚生年金
- 等級: 2級
2.申請前の状況
請求人は、うつ病による障害を抱えており、その初診日を平成24年11月頃と主張していました。症状は、離婚後の平成24年秋頃から、抑うつ、意欲低下、イライラ感、希死念慮、不眠などを呈するようになり、同年11月に医療機関を受診し、うつ病と診断されました。
その後も複数の医療機関を受診しながら治療を続けてきましたが、症状の悪化により休職を経験。社会復帰を目指して就職活動も行いましたが成果が得られず、現在に至るまで就労継続が困難な状態が続いています。
当事務所(ソシオ)にご相談いただいた際には、意欲低下、疲れやすさ、不眠といった典型的な抑うつ症状が見られ、日常生活への支障が強く現れていました。
3.申請の経緯
請求人は、自身のうつ病による障害状態に基づき、令和4年4月に事後重症請求として障害厚生年金の裁定請求を行いました。
しかし、提出された書類では、請求人が主張する初診日(平成24年11月頃)を確認できないとして、裁定請求を却下する処分を下しました。
この却下処分に対し、請求人は不服申立てを行い、審査請求、再審査請求を行うところでした。
当事務所では、障害年金申請における最も重要な要素の一つである「初診日の特定」に焦点を当て、請求人様を全面的にサポートいたしました。
再審査請求の主な争点
厚生年金被保険者期間に該当する初診日を、客観的証拠により特定できるかどうか。
提出された審査資料
後の医療機関で作成された平成25年の診療録には、「1年前に〇〇クリニックで意欲低下、気疲れ、不眠のために抗うつ薬の投与を受けてきた」と、請求人自身の申立てが記載されており、これが初診日認定の有力な根拠となりました。
一方、請求人が提出した友人による第三者証明書は、記載の整合性に欠け、証拠としては採用されませんでした。
また、請求人が主張する初診日の医療機関は平成27年に廃業していたため、診療録の入手が不可能となっており、初診日確認の難しさをさらに増していました。
4.当事務所のサポート内容
当事務所では、障害年金申請において最も重要な要素の一つである「初診日の特定」に重点を置き、以下の支援を行いました。
初診日特定の戦略立案
却下理由が初診日不明確であったため、過去の医療機関の受診履歴、服薬歴、第三者の証言など、あらゆる情報源を洗い出し、初診日を裏付ける証拠を収集・分析する戦略を策定しました。
詳細なヒアリングと申立書作成
請求人から発症から現在に至るまでの病歴・生活状況を詳細にヒアリングし、初診日に関する記憶や出来事を丁寧に確認。その内容をもとに「病歴・就労状況等申立書」を作成し、後の診療録の記述と整合する形で記述を構成しました。
書類精査と提出対応
集めた資料を精査し、初診日を客観的に証明できる可能性のある資料を厳選のうえ提出。却下後の審査請求・再審査請求においても、継続的に主張を支援し続けました。
5.結果と現在の状況
認定結果
再審査請求の結果、社会保険審査会は却下処分を取り消し、請求人が主張する平成24年11月が本件の初診日であると正式に認定しました。
申請受付から最終裁決まで約1年2ヶ月の審査期間を要しましたが、この裁決により障害厚生年金の支給条件を満たすことが確認され、請求人は障害厚生年金2級の受給に至りました。
受給額
障害厚生年金2級が認められ年間約100万円が支給されることとなりました。
生活の変化
請求人にとって最も大きな障壁であった「初診日認定」がクリアされ、経済的支援が確保されたことにより、精神的にも大きな安心感を得られました。今後は、治療への専念と社会復帰に向けて、前向きな取り組みが可能となりました。
6.申請を検討している方へのメッセージ
「初診日の特定は、障害年金申請における最大の難関の一つです。特に、古い記録や閉院してしまった医療機関が関係する場合は、確認が困難で申請を諦めてしまう方も多くいらっしゃいます。
しかし、今回のように診療録の中に当時の申立てが記載されていたことが認定の決め手となることもあります。
初診日の特定に悩んでいる方も、ぜひ一度、専門家にご相談ください。道は開けるかもしれません。」
