1. 基本情報
- 年代:50代
- 障害の種類:統合失調症
- 年金の種類: 障害基礎年金
- 等級:2級
2. 申請前の状況
■ 症状の発症と経過
申請者様は若年期より統合失調症と思われる精神症状を呈し、妄想・被害感・意欲低下などの症状で生活に困難を抱えていました。
裁定請求に際しては、昭和期の受診(数十年前)を初診日として主張していましたが、当時の医療機関の診療録は廃棄されており、証明することが極めて困難でした。
■日常生活への影響
裁決書には詳細な日常生活状況の記載はありませんが、
統合失調症の慢性的経過により、社会生活への適応は大きく損なわれていました。
■ 申請に至った理由
本人が主張する初診日の記録は残っておらず、厚生労働大臣は
「初診日が確認できない」として裁定請求を却下。
この決定に納得がいかず、専門家に相談し、再審査請求へ進むことを決意しました。
これは、精神疾患の障害年金で最も多い課題である
「初診日の証明ができない」
という壁に直面した典型的なケースです。
3. 申請の経緯
■ 初診日の特定プロセス
本件の争点は一貫して
➡ 数十年前の主張初診日を、証拠なくどこまで認定できるか
という点でした。
■当初主張と証拠不足
- 本人は「昭和期の受診」を初診日と申立て
- しかし診療録は残っておらず、医師の診断書に記載されている初診日も「本人の申立てによるもの」
→ 客観的証拠としては不十分と判断。
■ 第三者証明(家族・友人)
- しかし「数十年前の記憶」に依拠しており
- 医療機関名・診療内容の具体性が不十分
→ 初診日の認定資料とはならないと判断。
■決定的証拠の発見
審査会が取り寄せた精神科専門病院の診療録から、
過去に長期間の入院歴があったことが判明。
さらに提出資料として、
- 入院中の本人宛ての手紙(郵便消印あり)
- 病院主催の院内行事の賞状
などが発見され、当時の入院の事実が客観的に認められた。
■審査会の認定
- 主張された昭和期初診日は確認できず
- しかし「遅くとも平成期には精神疾患で入院していた」ことが明らか
→ この受診日を初診日として認定
→ 保険料納付要件も充足
結果、初診日不明を理由とする却下処分は取り消されました。
4. 当事務所のサポート内容
■初診日特定のための徹底調査
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過去の生活歴・職歴・医療機関を丁寧にヒアリング
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廃院した医療機関の所在調査
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昔の入院事実を示す「一見関係ない資料(手紙・賞状など)」も証拠として活用
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証拠の整合性・信頼性を確認
■ 法的根拠と認定基準に基づく主張
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「本人申立ての初診日」ではなく、認定可能な最も古い受診日を初診日とすべきとの法的主張
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初診日不明の場合の取り扱い(通達)を用い、要件充足性を論理的に整理
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診断書の精神状態欄、日常生活能力の程度を丁寧に分析し、等級該当性を補強
■不服申立て(審査請求・再審査請求)の遂行
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却下理由(初診日不明)に対する論点整理
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裁決に耐えうる「法的主張書面」を作成
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審査会が必要とする追加資料の選定・提出
精神障害の中でも、初診日確認が非常に難しい“長期経過例”に特有の専門的支援を実施しました。
5. 結果と現在の状況
■ 認定結果
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原処分(初診日不明による却下)は取り消し
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新たに審査会が認定した初診日に基づき
障害基礎年金2級の受給資格が確定
■ 受給開始時期
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裁定請求日を受給権発生日とする事後重症
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以後、継続して受給が可能に
■ 生活の変化
障害基礎年金2級の受給により
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経済的基盤が安定
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通院・服薬の継続が容易に
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将来への不安が軽減
など、経済的・精神的な安心につながりました。
6. 申請を検討している方へのメッセージ
初診日の立証は、精神疾患の障害年金でもっとも難しい問題のひとつです。
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昔の医療機関が廃業
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診療録が廃棄
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家族の記憶も曖昧
こうした状況でも、今回の事例のように、
客観的資料の積み上げと論理的な主張によって、初診日認定を勝ち取ることは可能です。
もし「初診日が証明できず諦めている」という方がいましたら、
専門的な知識をもつ障害年金のプロにご相談ください。
あなたの本来の権利を、諦めずに一緒に取り戻しませんか。
