目次
― 初回申請で社会的治癒の適用により、正確な初診日が認定されたケース ―
1. 基本情報
- 年代:60代
- 障害の種類:双極性感情障害(躁うつ病)
- 年金の種類:障害厚生年金
- 等級:3級
2. 申請前の状況
■ 発症と経過
申請者様は幼少期より学習面に苦手さがあり、記憶力や集中力の持続に困難を感じていました。社会人になってからも、指示の聞き間違いや作業手順の混乱が重なり、職場で叱責を受けることが多く、次第に抑うつ的な傾向が強まりました。
はじめて精神科を受診したのは中年期で、「うつ状態」と診断され加療を受けましたが、一定期間で寛解。その後は治療を中断し、通常勤務に復帰していました。
その後、再び仕事のストレスが増加する中で、不注意や記憶力低下が顕著になり、発達障害(アスペルガー症候群・ADHD傾向)の指摘を受けました。投薬治療を開始したものの、躁状態と抑うつ状態を繰り返すようになり、双極性障害の診断が下されました。
近年は全身倦怠感、不安発作、抑うつ気分、集中力低下、希死念慮といった症状が悪化し、就労継続が困難な状態に。現在も継続的な加療が行われています。
■ 日常生活への影響
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気分の波が激しく、朝起きられない・食事をとれないなど、生活リズムが大きく乱れていました。
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躁状態の際には衝動的な買い物や長時間の外出が見られ、家族のサポートが不可欠でした。
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抑うつ状態では意欲・集中力が著しく低下し、家事や金銭管理などの日常的行為にも援助が必要でした。
■ 就労状況
申請者様は、障害認定日時点では一般企業に在籍していましたが、欠勤・早退が頻発。
業務上のミスが増え、対人関係のトラブルも重なった結果、職場で孤立するようになり、最終的に退職に至りました。
3. 初診日の特定と申請のポイント
初診日の整理
複数の医療機関での受診歴があり、どの時点を初診日とするかが重要な焦点でした。
申請者様は過去に「うつ状態」と診断されて治療を受けたことがありましたが、その後、投薬中止と通常就労が数年間継続していたことが確認されました。
この期間は「社会的治癒」(=症状が十分に回復し、治療を必要としない状態が長期間継続したとみなす概念)に該当すると判断され、
その後、双極性感情障害として再発した際の受診日を「新たな初診日」として特定することができました。
これにより、厚生年金加入期間中の初診日が確定し、支給要件を満たす形で申請が可能となりました。
申請上の課題
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過去の診療記録が一部廃棄されており、経過証明が難しかった。
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うつ病と双極性障害の境界が曖昧で、症状の連続性をどう整理するかが課題だった。
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「社会的治癒」に該当する期間の客観的証拠をどのように立証するかが鍵となった。
4. 当事務所のサポート内容
初診日特定のための資料整理
当事務所では、複数の医療機関の診断書・受診状況等証明書を突き合わせ、治療の中断と再発の経過を時系列で整理。
また、勤務記録・給与明細・通院記録などを照合し、「治療を必要としない期間が存在した」ことを客観的に示しました。
病歴・就労状況等申立書の作成支援
申請者様の長い治療歴をわかりやすくまとめ、躁状態・抑うつ状態のエピソード、希死念慮、就労困難の実態などを具体的に記載。
審査担当者が障害の程度を正確に把握できるよう、生活の支障と社会的適応の困難さを重点的に記述しました。
診断書の整合性
診断書の内容と申立書との整合を図り、審査において誤解が生じないように調整しました。
5. 結果と現在の状況
審査の結果、請求人様の双極性感情障害による障害状態は、
「労働が著しい制限を受ける状態」に該当すると認定され、障害厚生年金3級が支給決定となりました。
社会的治癒が適用されたことにより、厚生年金被保険者期間内の初診日が認められ、初回申請段階で支給が決定。
障害年金の受給により、申請者様は治療費や生活費の不安が軽減され、現在は家族の支援を受けながら安定した療養生活を送られています。
6. 申請を検討している方へのメッセージ
双極性感情障害のように、寛解と再発を繰り返す病気では、初診日の特定が非常に難しい場合があります。
しかし、本事例のように、過去に症状が改善して社会生活を維持できた期間がある場合、
「社会的治癒」が認められ、初回申請でも正当な初診日を立証できる可能性があります。
「昔も治療を受けたけれど、今とは別の病気だと言われた」
「一度治った時期があるから初診日がわからない」
そんな場合でも、適切な資料整理と医学的根拠の提示によって、受給に繋げられるケースは少なくありません。
当事務所では、専門的な観点から初診日の特定、病歴整理、医師との連携、書類作成までを一貫してサポートいたします。
初回申請での受給を目指す方も、ぜひお気軽にご相談ください。
