目次
1.基本情報
- 年代: 40代
- 障害の種類: うつ病(中等症うつ病エピソード)
- 年金の種類:障害厚生年金
- 等級:2級
2.申請前の状況
症状の発症時期と経過
請求人様は、平成16年8月頃に過食と抑うつを主訴として初めて医療機関を受診しました。この際の診断名は「摂食障害とうつ状態」とされ、服薬治療を開始しました。しかし、約1ヶ月半で通院を自己中断しました。
その後、数年の空白期間を経て、平成21年9月頃から祖母の介護と長男の子育ての問題が重なり、気分の落ち込み、食欲不振、不眠、意欲低下といった症状が再び悪化し、家事もできなくなりました。この症状悪化を受けて、平成21年10月(2009年10月)に再度同一の医療機関を受診し、「うつ病」と診断され、定期的な通院と服薬治療が開始されました。
日常生活への影響
症状が再発した後は、意欲低下により家事も困難になるなど、日常生活に大きな支障が出ていました。
就労状況
最初の受診中断後から再受診までの期間に、専門学校への通学・修了(平成17年卒業)、出産(平成18年出産)、さらに平成19年4月に就職し、約2年6ヶ月継続勤務していたことが記録されています。これは一時的に通常の社会生活を送れていたことを示しています。再発後は家事もままならない状況となり、就労は困難となりました。
申請を決意したきっかけ
請求人様は、うつ病による障害の状態にあるとして障害年金の裁定請求を行いましたが、請求人の主張する初診日を確認できないことを理由に却下処分を受けました。この処分を不服として、審査請求、そして社会保険審査会への再審査請求を行うことを決意しました。
3.申請の経緯
初診日の特定プロセス
本件の最大の争点は、障害年金受給の要件となる「初診日」の特定でした。請求人様は、平成21年10月(2009年10月)の再受診日を初診日として主張しました。これに対し、審査側は、提出された書類では、請求人様が主張する初診日(厚生年金保険の被保険者期間中)であることを確認できないとして、裁定請求を却下しました。これは、過去の受診歴との因果関係が不明確であるとの判断が含まれていました。
証拠の精査
提出された診断書や診療録、請求人様が作成した病歴・就労状況等申立書などを精査しました。特に、最初に摂食障害で受診した際の症状と、その後のうつ病の症状との間の連続性、そして通院中断期間中の生活状況が詳細に検討されました。
社会的治癒の概念の適用
医療機関の医師による回答書では、平成21年10月の再受診時には、最初の摂食障害の症状が後退し、うつ状態が前面に出て主病名が「うつ病」とされたとの医学的根拠が示されました。
社会保険審査会は、「社会的治癒」という重要な概念を適用しました。これは、医学的には傷病が完全に治癒したとは確認できない場合でも、相当期間にわたって医療(予防的医療を除く)を行う必要がなくなり、通常の勤務に服するなど、社会生活を送っていたことが認められる場合には、その後の再発を新たな傷病として扱うという考え方です。
申請時の困難
本件では、最初の受診からの通院中断期間において、請求人様が医療機関に受診することなく、専門学校への通学・修了、出産、そして短期間の就労約2年6ヶ月を両立させていたという事実が、社会的治癒の成立を裏付けるものとして重視されました。
その結果、社会保険審査会は、平成21年10月の再受診日が新たな初診日として認められるのが相当であると判断しました。この初診日が請求人様の厚生年金保険の被保険者期間中であったことも確認されました。
申請時の課題や困難
障害年金の申請において、過去の通院歴がある場合、その初診日が原則として障害年金制度上の「初診日」となります。しかし、本件のように症状が一時的に改善し、通院を中断し、その後社会生活に復帰していた期間がある場合、初診日の特定は非常に複雑になります。
4.申請時の課題や困難
障害年金の申請において、過去の通院歴がある場合、その初診日が原則として障害年金制度上の「初診日」となります。しかし、本件のように症状が一時的に改善し、通院を中断し、その後社会生活に復帰していた期間がある場合、初診日の特定は非常に複雑になります。
特に、「社会的治癒」の成立を立証するためには、中断期間中の詳細な生活状況や就労状況を示す客観的な資料の収集と、それに基づいた専門的な主張が不可欠です。これが本件の最大の困難であり、厚生労働大臣による却下処分の主な理由でもありました。
5.当事務所のサポート内容
ヒアリングと病歴整理
請求人様からの丁寧なヒアリングを通じて、症状の発症から現在までの詳細な経緯、過去の受診歴、そして通院中断期間中の日常生活や就労状況を徹底的に洗い出しました。特に、社会的治癒の成立に必要な「相当期間の医療中断」と「通常の社会生活への復帰」を示す事実の把握に注力しました。
医師との連携と診断書作成支援
断書作成を依頼する医療機関の医師に対し、請求人様の病歴や生活状況を正確に伝え、障害年金制度における「初診日」や「社会的治癒」の概念、および審査における重要性を共有しました。これにより、医学的見地からみた傷病の連続性と再発の判断、そして社会的治癒の根拠となる状況を診断書に適切に反映していただくための支援を行いました。医師が「本傷病の初診日は平成21年10月と考える」と記載されたことは、当事務所の連携の成果の一つです。
審査対応と専門的主張の展開
厚生労働大臣による却下処分後、審査請求、さらには社会保険審査会への再審査請求の全てにおいて、代理人として対応しました。特に、社会保険審査会においては、「社会的治癒」の法的概念を明確に提示し、請求人様の具体的な状況がいかにその要件を満たしているかを詳細かつ説得力のある主張書面で展開しました。この代理人の存在が、請求人様が不服を訴える上で大きな支えとなりました。
5.結果と現在の状況
審査期間
却下処分から最終裁決まで、約1年9ヶ月を要しました。初診日の特定という重要な争点があり、慎重な審理が行われたため、通常の審査よりも時間を要しました。
認定結果
社会保険審査会は「原処分を取り消す」という請求人様の主張を全面的に認める裁決を下しました。これにより、請求人様が主張する平成21年10月再受診日が新たな初診日として正式に認められ、厚生年金保険の被保険者期間中の初診日が確定したことで、障害厚生年金の受給資格が確定しました。
受給額(概算)
初診日認定という大きな壁を乗り越え、経済的な支援の道が開かれたことで、請求人様の精神的な負担は大きく軽減されたことと推測されます。これにより、症状の改善や日常生活の安定に向けた新たな一歩を踏み出すことが可能になりました。
6. 申請を検討している方へのメッセージ
障害年金の申請において、特に初診日の特定は非常に重要な要件であり、本事例のように過去の通院歴や病状の経過が複雑な場合、その証明は困難を極めることがあります。しかし、今回の事例のように、一時的に症状が改善し、社会生活を送れていた期間がある場合には、「社会的治癒」という概念が適用され、新たな初診日が認められる可能性があります。これは、障害年金申請を諦める前にぜひ検討すべき重要なポイントです。
ご自身の病歴を正確に整理し、それを証明する資料を収集することは、ご本人様だけでは大変な労力を要します。また、「社会的治癒」のような専門的な概念を理解し、適切に主張を組み立てるためには、障害年金に関する専門知識が必要不可欠です。
私たちのような障害年金申請代行の専門家は、複雑な病歴の整理、医師との連携、必要書類の収集、そして審査機関に対する専門的な主張の展開まで、申請の全プロセスを強力にサポートいたします。「障害年金」という制度は、難病や怪我で生活や仕事に困難を抱える方々にとって、非常に重要な経済的支援となり得ます。
もし現在、病気や怪我で困難を抱え、障害年金の受給を検討されているのであれば、決して一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。あなたの状況を丁寧に伺い、最適な申請方法を共に考え、受給の可能性を最大限に引き出すお手伝いをさせていただきます。
