1.基本情報
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年代:30代
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障害の種類:広汎性発達障害(二次障害として抑うつ状態を併発)
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年金の種類:障害厚生年金
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等級:3級
2.申請前の状況
発症の経過:申請者様は幼少期から、特定の興味(例:鉄道)を一方的に話してしまう傾向があり、受け入れられず悲しい思いをした経験がありました。
また、人の顔を覚えるのが苦手で、場の空気を読むことが困難でした。
高校卒業後は大学に進学、その後は父親の勧めで海外留学をしましたが、引きこもりがちとなり卒業はできませんでした。帰国後は家業を手伝った時期もありましたが、継続就労は難しい状況でした。
やがて、仕事が続かないことへの不安や緊張感、全身の倦怠感が強まり、精神科を受診。広汎性発達障害と抑うつ状態の併発と診断されました。
日常生活への影響:日々の生活では、興味の幅が狭く、対人不安や緊張が強く、雑談などの社会的コミュニケーションが困難でした。空気を読めないことや顔を覚えにくい特性から叱責を受けることも多く、それが抑うつ症状を悪化させていました。
食事の準備、清潔保持、金銭管理、買い物、通院や服薬、危機対応など、日常の多くの行動で助言や指導が必要と判断されており、「家庭内の単純な生活はできるが、時に援助が必要」と評価されました。
就労状況:これまでいくつかの職を転々とし、いずれも短期間で終了していました。障害認定日時点では一般企業に就職していましたが、試用期間中で上司と二人きりの環境で、指示を受けて作業を行う業務内容でした。営業活動では対人関係の困難から支障をきたし、叱責により抑うつが悪化しやすい状態でした。
診断書には「保護的な環境での短時間・室内軽作業なら可」と記載され、一般的な環境での就労は困難であることが示されました。知能検査ではIQは一部で保たれていましたが、作業記憶や処理速度の低下が明確で、就労能力の低さが客観的にも裏付けられました。
申請を決意したきっかけ:仕事が続かず、強い不安や倦怠感を抱えるなか、将来の生活を支えるために障害年金の申請を決意されました。
3.申請の経緯
初診日の確認:初診日は、請求人様が初めて精神科を受診した日であることが診療記録で確認され、問題なく確定しました。
医師との連携と書類作成:主治医に診断書を依頼し、幼少期からの発達の経過・治療歴・現在の症状・日常生活の詳細・就労状況が丁寧に記載されました。特に、発達障害の特性(興味の偏り・対人困難・空気が読めないなど)と二次障害である抑うつ状態が、日常生活や就労にどのように影響しているかが具体的に示されました。
審査のポイント:障害認定基準では「現に就労している者であっても、保護的環境や援助のもとでの労働をもって、直ちに日常生活能力が高いと評価しない」と定められています。請求人様は保護的な環境で短時間勤務しており、この点が的確に評価された結果、裁定請求の段階で障害厚生年金3級が認定されました。
4.当事務所のサポート内容
詳細なヒアリング
発達障害の特性や抑うつ症状が日常生活・就労に与える影響を丁寧に聞き取り、申立書に反映しました。
診断書・申立書の作成支援
「病歴・就労状況等申立書」では、請求人様の生活上の困難や職場での支援状況、短時間就労であっても困難が大きいことを具体的に記述しました。
専門的助言
認定基準における「社会性・コミュニケーション能力の制約」や「就労環境の評価」について、基準に沿った説明を行い、書類作成をサポートしました。
5.結果と現在の状況
認定結果
裁定請求の段階で、障害認定日における障害の状態が障害厚生年金3級に該当すると判断されました。
生活の変化
遡って年金が支給され、経済的な基盤が安定しました。精神的な負担も軽減され、療養や社会参加に向けて準備を進められるようになりました。
6.申請を検討している方へのメッセージ
広汎性発達障害や二次障害の抑うつ状態は、外見からは分かりにくく、困難を客観的に説明するのが難しいことがあります。
たとえ就労中であっても、その内容や職場での援助の有無によっては障害年金が認められる可能性があります。
適切な診断書と申立書を整えることで、裁定請求の段階で適正な評価を受けられることがあります。
申請に不安を感じるときは、専門家の支援を受けてみてください。生活状況に即したサポートを通じて、安心して療養や社会参加を目指せる環境づくりをお手伝いします。
