目次
1.基本情報
- 年代: 50代
- 障害の種類: 統合失調症(うつ病からの進行)
- 年金の種類: 障害基礎年金、障害厚生年金
- 等級: 障害厚生年金3級から2級へ増額、障害基礎年金2級を併給
2.申請前の状況
申請者様は、もともと「うつ病」を支給対象傷病として障害厚生年金3級を受給されていました。しかし、その後の病状が悪化し、抑うつ気分、リストカットなどが現れ始め、カウンセリングを受けて一時軽快するも、不安焦燥感や苛々感、抑うつ気分が続きました。精神症状が悪化して7ヶ月間休職し、複数回の入院歴がありました。最近1年間は、妄想的な体験を中心とした思考障害が前景化し、「ストーカーに狙われている」といった妄想が出現するなど、診断名が「統合失調症」に変更されました。
現在の病状としては、思考・運動制止、不眠、不安焦燥感、妄想、思考形式の障害(考想伝播)、意欲の減退などが顕著に見られました。仕事に就いても対人関係に過敏に反応し、妄想的な思考に基づいて異常な内的体験を構築するため、就労継続が難しく、休職・退職を繰り返す状況にありました。病識が欠如しており、現実と妄想の区別がつきにくい状態でした。
日常生活では、単身生活を送っていましたが、家で終日寝ていることが多く、掃除、洗濯、炊事などがほとんどできないため、家事代行サービスを私費で利用していました。援助がなければ日常生活は不可能と判断される状態でした。
3.申請の経緯
申請者様は、障害の状態が増進したとして、障害基礎年金の支給と障害厚生年金3級からの額改定(2級への増額)を請求しました。
しかし、審査では、申請者様の障害の状態が国民年金法施行令別表に定める2級の程度には該当せず、従来の3級の程度に該当すると判断し、額改定をしない旨の処分を下しました(原処分)。
保険者は、申請者様の診断書で「日常生活能力の判定」が2級相当と評価されているにもかかわらず、処方薬が睡眠薬のみであること、そして家事代行サービスを利用しながらも独居生活を維持できている状況から、日常生活に著しい制限があるとは認め難いと主張していました。
4.当事務所のサポート内容
当事務所は、申請者様の生活実態と精神症状の具体的な影響を詳細に把握し、保険者の判断が申請者様の真の状態を反映していないとして、再審査請求をサポートしました。
日常生活状況の徹底的な説明
診断書に記載されている日常生活能力の判定や程度に加えて、申請者様が実際にどのような困難に直面しているのか、具体的なエピソードを交えながら詳細に説明しました。特に、独居生活を維持するために私費で家事代行サービスを利用している事実が、援助なしでは生活が成り立たない状況を強く示していることを強調しました。
症状と日常生活の関連付け
妄想、思考障害、病識の欠如といった精神症状が、就労困難や日常生活における意欲減退、危険認識の低下にどのように影響しているかを具体的に示し、これらの症状が「日常生活に著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」に該当することを主張しました。
専門的な基準への照らし合わせ
国民年金・厚生年金保険障害認定基準における精神の障害の認定要領、特に統合失調症による障害で2級に相当すると認められる例示(「残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの」)に申請者様の状態が合致していることを論理的に説明しました。
5.結果と現在の状況
社会保険審査会は、申請者様の現在の病状、日常生活能力の評価、そして何よりも援助がなければ日常生活が不可能であるという具体的な状況を総合的に勘案し、申請者様の障害の状態が国民年金法施行令別表に定める2級の程度に該当すると判断しました。これにより、厚生労働大臣が行った額改定をしない旨の原処分は取り消されました。
- 認定結果: 障害厚生年金2級への増額が決定し、障害基礎年金2級が併給されることに
- 受給額:年額約100万円
- 生活の変化: 経済的な支援が厚くなったことで、生活の安定性が向上し、病状の悪化が繰り返される中でも、より安心して療養に専念できる環境が整いました。家事代行サービスなどの必要なサポートも継続して利用できるため、自立した生活をより維持しやすくなりました。
6.申請を検討している方へのメッセージ
一度認定された等級であっても、病状の増悪によって生活状況が変化した場合は、額改定請求によってより上位の等級への変更が可能です。特に精神疾患の場合、日常生活での具体的な困りごとや、周囲からの援助が不可欠である状況を正確に伝えることが重要です。処方薬の種類や独居であることだけで判断されるのではなく、皆様の真の生活実態をきちんと伝えることが、適正な等級認定には不可欠です。精神領域の審査は病状を主張しても認められるとは限りませんが、本件の申請者様は医学的にも明らかに悪化している状況で、実態も伴っていたので認められる可能性があると判断し手続きを行いました。 障害年金申請代行を通じて、専門家が皆様の具体的な状況を丁寧に言語化し、適切な形で審査機関に届けます。
