目次
1.基本情報
- 年代:50代
- 障害の種類:両眼網膜色素変性症
- 年金の種類:障害基礎年金
- 等級:2級
2.申請前の状況
請求人様は、昭和63年頃から自身の目に異常を感じ始めていました。実際に具体的な症状として、周囲がよく見えていないのではないかと義母に指摘されたのをきっかけに、平成6年4月に眼科を受診しました。そこで「両眼網膜色素変性症」と診断され、医師からは「治療法はない」「失明する可能性がある」と説明を受けました。この時の受診は1日のみで、投薬治療も行われていなかったため、その後は医療機関を受診することはありませんでした。
しかし平成22年頃から外出先で人や物に衝突したり、自動車運転で擦り傷を残すようになるなど、明らかに視力低下を自覚するようになりました。そして、平成24年7月に眼科を再受診するに至りました。この時点で、視力は右0.03(矯正不能)、左0.05(矯正不能)であり、眼圧や視野狭窄なども認められました。
3.申請の経緯
請求人様は、両眼網膜色素変性症による障害の状態にあるとして、事後重症による障害基礎年金の裁定請求を行いました。
このケースの主な争点は、「初診日の特定」でした。請求人様は、当初の裁定請求書に「平成6年4月」初診日として記載していましたが、審査請求時には、予備的に「平成24年7月」を初診日と主張しました。特に、最初の受診が1日のみで治療がなかったため、これを初診日と認められるかが論点となりました。
- 診断書:傷病名は「両眼網膜色素変性症」、初めて医師の診療を受けた日は「平成6年4月(本人の申立て)」と記載。
- 受診状況等証明書:傷病名「両眼網膜色素変性症」、発病年月日は「不明」、発病から初診までの経過として「約18年前、眼科にて、両眼網膜色素変性症と診断を受けた。その後通院治療はしていない」と記載、初診年月日は「平成6年4月」と記載。
- 身体障害者手帳:平成24年9月1日交付、等級2級と記載。
これらの資料から、請求人様が平成6年4月に眼科を受診し、そこで「両眼網膜色素変性症」と診断され、投薬治療が行われたという事実が確認されました。
4.当事務所のサポート内容
初診日認定の難しさに直面する中、当事務所は請求人様の権利擁護のため、以下のサポートを行いました。
詳細な病歴の聞き取りと整理
請求人様とそのご家族から、症状の発症時期、過去の医療機関受診歴、日常生活への影響などを詳細に聞き取り、時間の経過とともに変化する症状を整理しました。
医療機関との連携と証拠収集
請求人様が受診した複数の医療機関に問い合わせを行い、初診日を特定するための診断書や受診状況等証明書などの資料収集に尽力しました。
初診日認定の法的解釈に基づいた主張
最初の受診で診断はされたものの治療がなかったケースにおいて、障害年金制度における「初診日」の定義と、その後の症状悪化との因果関係を論理的に説明し、適切な初診日を認定するよう主張しました。
請求手続きの代理
請求手続きを代理し、請求人様の状況を適切に伝えるための書面作成や審査対応を行いました。
5.結果と現在の状況
提出された資料を総合的に判断し、平成6年4月に眼科を受診し、両眼網膜色素変性症と診断され、投薬治療が行われた事実が認められることから、この日が本件の初診日と認定されました。また、この初診日において請求人様が国民年金の被保険者であり、所定の保険料納付要件を満たしていることも確認されました。
- 認定結果: 障害基礎年金2級の支給が決定されました。
- 受給額: 年額約80万円の支給が決定しました。
- 生活の変化: 障害年金を受給することで、視覚障害による生活上の困難に対する経済的支援が得られるようになりました
6.申請を検討している方へのメッセージ
網膜色素変性症のように、診断された当初は治療法がなく、一時的に医療機関から離れてしまうケースは少なくありません。しかし、その後の症状悪化で再受診した場合でも、最初の診断日が初診日となる可能性があります。
「初診日の証明が難しい」「治療歴が中断している」といった事情があっても、諦めずに専門家にご相談ください。障害年金 受給事例を通じて、様々な困難を乗り越えて受給に至ったケースがあります。私たち障害年金申請代行のプロフェッショナルが、皆様の複雑な状況を丁寧に紐解き、受給への可能性を追求します。
