目次
1. 基本情報
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年代:40代
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障害の種類:末期腎不全(2型糖尿病性腎症に起因)
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年金の種類:障害厚生年金
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等級:2級
2. 申請前の状況
申請者様の疾病は、2型糖尿病性腎症から進行した末期腎不全でした。
過去に糖尿病の指摘を受け、一定期間治療を続けていましたが、症状が安定したことから自己判断で通院を中断。その後、全身の倦怠感や下痢などの体調不良が現れ、再び医療機関を受診した際に血糖値の著しい上昇が確認され、糖尿病の再発・進行が明らかになりました。
以降、腎機能が徐々に低下し、人工透析(週3回)が必要な末期腎不全の状態に至りました。
透析治療は週3回・1回あたり数時間を要するため、時間的・身体的負担が極めて大きく、日常生活にも深刻な制約を伴います。
診断書には、「腎性貧血を認め、労働能力はない(不可能)」との記載があり、身体的には透析以外の活動も容易ではありませんでした。
食事・水分摂取・服薬など、日常のあらゆる行動に自己管理が求められ、体力・集中力ともに著しく消耗する生活が続いていました。
末期腎不全の進行により、通常の就労は事実上困難な状態でした。腎性貧血や倦怠感の影響で長時間の労働に耐えることができず、主治医の判断でも「労働能力なし」と明記されていました。
人工透析が開始され、今後の継続治療が不可避であることを受けて、経済的な不安を軽減するために障害年金の申請を決意されました。
特に、糖尿病から腎不全へと進行した長期経過疾患特有の“初診日認定”の難しさが最大の懸念点でした。
3. 申請の経緯
初診日の特定と争点
本件の最大の焦点は、「障害の原因となった傷病(末期腎不全)の初診日がいつか」という点でした。
請求人様は、糖尿病を初めて診断された時点を初診日として申立てました。これは、障害認定基準上、腎不全の原因が糖尿病である場合、その糖尿病の初診日をもって腎不全の初診日とみなすという「相当因果関係」の考え方に基づく主張です。
提出書類には複数の診断書、受診状況等証明書、身体障害者手帳の写しなどが含まれ、社会保険審査機関ではこれらをもとに詳細な事実確認が行われました。
その結果、糖尿病の治療が正式に開始された医療機関の初診日が障害原因となった傷病の初診日と認められました。
なお、申立人が主張したさらに以前の糖尿病の指摘については、当時の受診記録や投薬記録などの客観的資料が存在しなかったため、初診日としては採用されませんでした。
医師との連携
複数の医療機関から取得した診断書や照会回答書をもとに、糖尿病発症から腎不全に至る経過が詳細に整理されました。
各医師の診療情報を突き合わせることで、病態の連続性と初診日の合理的な特定が可能となり、審査機関においてもその整合性が評価されました。
申請時の課題
糖尿病のような慢性疾患では、通院中断や医療機関の廃院などにより、初診の証明が極めて難しいケースが多くあります。
請求人様も、当初は「記録が残っていないため、初診を証明できない」とされ、却下のリスクを抱えていましたが、複数の補強資料を丁寧に提出した結果、初回申請での認定に至りました。
4. 当事務所のサポート内容
本件のように、慢性疾患で初診日特定が困難なケースでは、医学的知見と社会保険実務の双方からの支援が重要となります。
当事務所は、以下の点で申請者様を包括的に支援しました。
初診日特定の戦略立案
- 糖尿病から腎不全への進行過程を整理し、「どの段階の受診を初診とみなすのが妥当か」を認定基準に基づいて助言しました。
- 初診医療機関が現存しない場合でも、受診証拠を補完できる間接資料(検診結果・診察券・薬剤情報・証言など)を探索しました。
医療機関連携・書類収集サポート
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医療機関ごとの「受診状況等証明書」取得を支援し、糖尿病→腎症→腎不全という経過を一貫して証明できるよう書類を整理しました。
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医師には、「糖尿病性腎症から末期腎不全に至った経過」と「透析療法開始の時期」を記載いただきました。
書類作成・申立書整備
- 申立人の治療経過や通院歴を時系列で整理し、病歴・就労状況等申立書をわかりやすく構成。
- 特に、糖尿病発症時の症状・通院の実態・自己中断の経緯を客観的に補足し、認定に必要な情報を過不足なく提示しました。
審査段階での補足対応
- 提出資料に対する照会や追加説明が求められた際には、法的観点から根拠を整理した意見書を提出し、初診日の合理的認定を後押ししました。
5. 結果と現在の状況
認定結果
社会保険審査機関は、糖尿病を初めて治療開始した時点を初診日と認定し、その時点で申請者様が厚生年金保険の被保険者であったこと、また保険料納付要件を満たしていたことを確認しました。
さらに、人工透析療法を受けていることから、「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」に定める障害等級2級に該当すると判断され、初回申請で障害厚生年金および障害基礎年金2級の受給が決定しました。
受給内容と生活の変化
受給額は加入状況によって異なりますが、障害基礎年金と障害厚生年金の併給により、年間130万円以上の支給が見込まれる水準となりました。
これにより、継続的な透析治療と生活維持に必要な経済的基盤が確保され、治療に専念できる安心感が得られました。
6. 申請を検討している方へのメッセージ
本事例は、「慢性疾患の初診日認定の重要性」と、「透析療法の等級判定の明確さ」を示す好例です。
糖尿病や高血圧など、長期にわたって進行する疾病では、発症当初の医療記録が残っていないことも多く、初診日の証明が最大の壁となることがあります。
しかし、諦める必要はありません。
受診状況等証明書や診療情報提供書だけでなく、健康診断結果・投薬履歴・家族の証言など、複数の資料を総合的に用いることで、初診日の認定を受けられる可能性があります。
障害年金は、長期療養を余儀なくされる方々の生活を支える大切な制度です。
もし「初診日が分からない」「資料が古くて不安」と感じている方は、どうか一度、障害年金に精通した専門家にご相談ください。
私たちは、あなたの状況を丁寧に整理し、最適な戦略と確実な書類準備で、受給への道をサポートいたします。
