
はじめに
仕事中や通勤中にケガや病気になったとき、頼りになるのが労災保険です。
正式には「労働者災害補償保険」と呼ばれ、労働者が業務や通勤が原因で被った負傷や障害、病気、さらには死亡に対して、迅速な保護と支援を提供する制度です。
でも、「どんなときに使えるの?」「どんな給付があるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、労災保険の目的や対象となる「業務災害」「通勤災害」、そして具体的な給付の種類や社会復帰支援までを詳しく解説します。
労災保険って何?
労災保険は、労働者災害補償保険法に基づき、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするために保険給付を行い、併せて被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図ることにより、労働者の福祉の増進に寄与することを目的としています。
その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
業務災害(仕事中の傷病)
業務災害とは、業務上の事由による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。
業務上とは、業務が原因となったということであり、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることをいいます。
通勤災害(通勤中の傷病)
通勤災害とは、通勤による労働者の傷病等をいいます。
この場合の「通勤」とは、就業に関し、
| 区枠 | 障害の状態 |
| ア | 住居と就業の場所との間の往復 |
| イ | 就業の場所から他の就業の場所への移動 |
| ウ | 単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動 |
上記を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされています。
業務災害、通勤災害についての詳細は厚生労働省の下記URL参照をご参照ください。
参考:厚生労働省/障害(補償)等給付の請求手続き/2024年6月20日
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-12_0002.pdf
労働者
「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありません。
労災保険給付の種類
- 医療機関に受診した場合
⇒療養(補償)給付 - 仕事に行けなくなった場合
⇒休業(補償)給付 - 1年6月経過しても治らず、一定の障害状態にある場合
⇒傷病(補償)年金 - 治ゆした時に、障害が残った場合
⇒障害(補償)給付 - 亡くなられた場合
⇒遺族(補償)給付、葬祭料(葬祭給付) - 介護を受けている場合
⇒介護(補償)給付
社会復帰推進事業
・主な事業
アフターケアの実施、義肢・車椅子等の購入費用等の支給 等被災労働者の円滑な社会復帰を促進するために必用な事業等
被災労働者支援事業
・主な事業
労災重度被災労働者に対する介護の実施、労災就学等援護費、特別支給金の支給等
安全衛生確保事業
・主な事業
第3次産業労働災害防止対策支援事業、産業保険活動総合支援事業費補助金、未払賃金の立替払事業等
特別給付金
業務災害又は通勤災害により被災した労働者又はその遺族に対しては、所定の保険給付が支給されますが、この他に社会復帰促進等事業として特別支給金が併せて支給されます。
これらの特別支給金の申請は、原則として、各々の保険給付の請求と同時に行うこととなっています。
特別支給金の種類
休業特別支給金、障害特別支給金、遺族特別支給金、傷病特別支給金、障害特別年金(一時金)、遺族特別年金(一時金)、傷病特別年金
おわりに
労災保険は、業務や通勤が原因でケガや病気に見舞われた労働者を守り、生活の安定と社会復帰を支えるための制度です。
療養や休業、障害、遺族への給付に加え、特別支給金や安全衛生の確保まで、幅広い支援が用意されています。
働く全ての人に関わる制度ですから、万が一のときに備えてその仕組みを理解しておくと安心です。

監修:社会保険労務士
岡本卓也
Sen社会保険労務士法人
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