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療育手帳とは?
療育手帳は、知的障害のある方が安心して支援を受けられるようにするための大切な手帳です。
知的障害児または、知的障害者に対し、一貫した指導・相談を行い、各種の援助を受けやすくすることを目的としています。
手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所で知的障害と判定された方に対し、都道府県知事、指定都市市長、または中核市の市長が交付します。
■ 療育手帳の制度の根拠
この制度は「療育手帳制度について」(昭和48年9月27日 厚生省発児第156号 厚生事務次官通知)に基づいています。各自治体は、この通知を参考にしながら、独自の運用基準を定めています。
療育手帳を取得できる方
療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所において知的障害と判定された方(知的障害者)に対して交付されます。
療育手帳を運営する主体
この制度は、都道府県知事や指定都市の市長(都道府県知事等)が、市町村や関係機関の協力を得ながら実施します。
療育手帳の障害の程度と判定基準
療育手帳の障害の程度は、重度(A)とそれ以外(B)の2つに分類されます。
重度(A)に該当する基準
- 知能指数(IQ)が概ね35以下で、以下のいずれかに該当する方
・食事、着替え、排泄、洗面など日常生活の介助を必要とする
・異食や興奮などの問題行動がある - 知能指数(IQ)が概ね50以下で、盲・ろう・肢体不自由などの障害を併せ持つ方
それ以外(B)に該当する基準
- 重度(A)に該当しない方
- 自治体によっては、さらに細かく区分される場合があります。
療育手帳の記載内容
手帳の名称
- 「療育手帳」と記載する。
手帳の主な記載内容
- 知的障害者の氏名、住所、生年月日、性別
- 障害の程度(重度またはその他)
- 保護者の氏名、住所、続柄
- 指導・相談等の記録
- その他、必要な事項(自治体の判断による)
申請から交付までの流れ
申請手続き
- 療育手帳の交付申請は、居住地を管轄する福祉事務所の長を経由して行います。
- 福祉事務所が設置されていない町村に居住している場合は、町村長を経由した後、管轄の福祉事務所の長を経由して申請します。
申請書の内容
- 療育手帳用の写真を添付
- 個人番号(マイナンバー)の記載
- 別添様式の申請書を使用
申請から交付までの流れ
- 福祉事務所の受付
申請書を受理し、管轄の児童相談所または知的障害者更生相談所の長へ送付 - 児童相談所・知的障害厚生相談所での判定
交付対象者について判定を行い、結果を申請書に記入して都道府県知事等へ送付 - 既判定の利用
すでに判定を受けている場合は、その結果を利用可能
ただし、次回判定年月は別の時期に設定可能 - 他機関の判定結果の活用
特別児童扶養手当や障害福祉年金の受給資格の認定を受けた場合、その判定結果を利用可能 - 都道府県知事の決定と交付
交付の可否を決定し、結果を経由機関へ通知
交付決定者には必要事項を記入した療育手帳を作成し、管轄の福祉事務所の長を経由して申請者に交付 都道府県知事等の決定と交付
交付の可否を決定し、結果を経由機関へ通知
交付後の障害程度の確認
療育手帳交付後、原則として2年ごとに障害の程度を確認するため、児童相談所や知的障害者更生相談所で判定が行われます。
記載事項の変更手続
氏名や住所などに変更があった場合は、管轄の福祉事務所を経由して都道府県知事等に届け出を行い、手帳の記載事項を訂正します。
療育手帳の交付状況
(出典:令和4年度福祉行政報告例)
- 重度(A):1,249,939人
- 重度(B)815,775人
その他の注意点
- 児童相談所を設置する中核市では、当該児童相談所で知的障害と判定された方に対し、中核市の市長が療育手帳を交付できます。
- 中核市が手帳を交付する場合、上記の「都道府県知事等」を「中核市の長」と読み替えて適用します。
療育手帳を取得するメリット
療育手帳を取得すると、次のような支援を受けることができます。
- 福祉サービスの利用(例:特定の支援施設の利用や介助制度の活用)
- 税制優遇措置(例:所得税・住民税の軽減)
- 交通費の割引(例:公共交通機関の料金減免)
申請に関する疑問や不安があれば、お気軽に自治体の福祉窓口にご相談ください。