目次
1.基本情報
- 年代: 40代
- 障害の種類: 両高度感音難聴
- 年金の種類:障害基礎年金
- 等級: 1級
2.申請前の状況
申請者様は、生まれつきまたは幼少期から聴覚に障害を抱えており、特に右耳の聞こえにくさを中学生頃から自覚されていました。その後も症状は進行し、高校入学後にはめまいなどの症状も頻繁に現れ、両側の感音難聴と診断されていました。
難聴の症状は徐々に悪化し、日常生活に大きな影響を及ぼしていました。電話での会話や集団でのコミュニケーションが困難になるなど、社会生活を送る上での支障が顕著になっていきました。この病状に対し、過去に複数の医療機関を受診されていましたが、明確な診断や治療効果が得られない時期もあり、長期にわたる苦悩を抱えていらっしゃいました。
このような状況の中、ご自身の障害が社会生活に与える影響の大きさ、将来への不安があるなかで、障害年金について知る機会があり、障害年金の申請を決意されました。
3.申請の経緯
申請者様の障害年金申請において、最も大きな壁となったのは「初診日」の特定でした。ご本人は障害の原因となった傷病(両高度感音難聴)の初診日は20歳到達前の時期に該当するため、保険料納付要件が問われない障害基礎年金の対象となると考えていました。
しかし、審査側は「現在提出されている書類では、当該請求にかかる傷病(両高度感音難聴)の初診日が主張する日であることを認めることができないため」として、障害基礎年金の裁定請求を却下する処分(原処分)が下されました。客観的な資料が不足していたことが主な理由でした。また、異なる時期に複数の医療機関を受診し、それぞれ異なる傷病名(例:右音響外傷後遺症、メニエール症候群(疑い))が付与されていたため、これらの傷病と現在の「両高度感音難聴」との間に相当因果関係があるかどうかの判断も難しい状況でした。
そんな中、当事務所へのご相談となり、この却下処分に対し、代理で不服を申し立て、社会保険審査官への審査請求を経て、社会保険審査会への再審査請求を行うことになりました。再審査請求の過程では、当事務所の専門知識と経験を活かし、以下の点に注力しました。
- 過去の受診歴の徹底的な掘り起こし: 申請者様やご家族からの詳細なヒアリングを通じて、過去に受診した医療機関の記録を可能な限り収集しました。カルテが残っていない場合でも、診療情報提供書や受診状況等証明書、身体障害者手帳などの資料から、初診日を裏付ける間接的な証拠を探し出しました。
- 専門家による意見書の活用: 診断書を作成した医師への照会を通じて、申請者様の病状の経過や、初診日に関する医師の見解を明確にしてもらいました。医師は「当科初診時にはすでに両側の感音難聴を認めており、その後進行性難聴と診断しております」と回答しており、これが初診日認定の重要な証拠となりました。
- 障害状態の客観的な証明: 提出された診断書や聴性脳幹反応検査(ARB)結果に基づき、申請者様が両耳の聴力レベルが100デシベル以上という高度な難聴状態にあることを客観的に示しました。これは、国民年金法施行令別表に定める障害等級1級に該当する基準を満たすものでした。
- 不服申し立て手続きの粘り強い遂行: 一度却下された決定を覆すため、審査請求から再審査請求へと粘り強く手続きを進め、集めた証拠を社会保険審査会に提出し、初診日の認定と障害状態の再評価を求めました。
4.当事務所のサポート内容
本事例のように、初診日の証明が困難なケースや、複雑な病歴を持つケースは、障害年金申請において特に高いハードルとなります。当事務所では、申請者様の状況に合わせ、以下の内容で包括的なサポートを提供いたしました。
初診日特定のための証拠収集支援
申請者様が「中学生頃に右耳の聞こえにくさを自覚し、耳鼻科を受診した」と主張される初診日について、現存する医療機関の記録が少ない中で、当時の身体障害者手帳や複数の医療機関からの診療情報提供書・受診状況等証明書を収集するお手伝いをしました。これにより、断片的な情報から初診日を裏付ける証拠を積み上げることができました。
医師との診断書内容の確認
主治医に対し、障害年金申請に必要な診断書の記載内容について、認定基準に即した具体的な症状や検査結果が網羅されているかを確認し、聴性脳幹反応検査(ARB)の結果など、必要に応じて医師との連携を密に行いました。
病歴・就労状況等申立書の作成支援
申請者様ご本人だけでなく、ご家族(父親)からのヒアリングも行い、幼少期からの聴覚障害の経過、日常生活への影響、通院状況などを詳細かつ正確に、そして障害年金制度の認定基準に則った形式で「病歴・就労状況等申立書」にまとめ上げました。これにより、申請者様の困難な状況が審査機関に的確に伝わるよう努めました。
却下後の不服申し立て手続きの代理
初回申請で却下された後も、決して諦めることなく、社会保険審査官への審査請求、そして社会保険審査会への再審査請求の手続きを当事務所が全面的に代理いたしました。法的根拠に基づき、提出された証拠がいかに初診日認定の要件を満たすかを論理的に主張し、却下処分の取り消しを求める粘り強い交渉を行いました。
専門知識に基づく適切な等級認定の追求
申請者様の聴覚障害が両耳の聴力レベルが100デシベル以上という、障害基礎年金1級に該当する重度な状態であることを、認定基準に基づいて明確に提示し、当初却下された決定を覆し、上位等級での認定へと導きました。
5.結果と現在の状況
申請者様の障害年金申請は、約1年半にわたる複雑なプロセスを経て、原処分が取り消され、障害基礎年金1級の受給権が認定されました。
- 審査期間: 裁定請求から社会保険審査会の裁決まで、約1年半を要しました。
- 認定結果: 障害基礎年金1級の受給権が認定されました。
- 受給額: 約100万円/年
- 生活の変化: 障害基礎年金1級の受給が決定したことで、申請者様の経済的な不安は軽減され、精神的な負担も少し和らぎました。これにより、より安心して日常生活を送ることが可能になりました。
6.申請を検討している方へのメッセージ
この受給事例は、「障害年金」の中でも「初診日の証明が難しい」という課題に直面されている方にとって、大きな事例となるでしょう。古い記録が残っていない、複数の医療機関を受診している、傷病名が途中で変わったなど、様々な理由で初診日の壁にぶつかるケースは少なくありません。しかし、この事例のように、間接的な資料を粘り強く探し、専門家がそれらを効果的に組み合わせることで、道を切り開くことができます。
また、20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件が問われない障害基礎年金の対象となり、経済的な面で非常に大きな支えとなります。ご自身の障害が「障害年金」の対象になるのか、初診日の証明に不安がある、あるいは一度不支給決定を受けてしまったという方も、すぐに諦めないでください。
当事務所は、お客様一人ひとりの状況に真摯に向き合い、複雑な申請プロセスにおいても、「障害年金 申請代行」のプロフェッショナルとして、最適な戦略を立て、受給という結果に向けて全力でサポートいたします。
ご自身の可能性を信じ、まずは一歩踏み出して、私たちにご相談ください。
