
目次
◎もくじ
はじめに
障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障が出たときに頼れる公的支援ですが、受給するには一定の条件をクリアする必要があります。
その条件とは、「加入要件」「保険料納付要件」「障害の程度(障害状態)要件」の3つで、これらを総称して『障害年金受給の3要件』と呼びます。
どれか一つでも欠けると受給が難しいため、申請を考えるならまずこの3つを理解することが大切です。
それぞれの要件が何を意味するのか、具体的な基準や例外を含めて詳しく解説します。
障害年金の仕組みを知り、自分が受給できる可能性を見極める手助けになれば幸いです。
障害年金受給の3要件
障害年金を受給するためには、
- 加入要件
- 保険料納付要件
- 障害の程度(障害状態)要件
上記の3つを満たす必要があり、これを『障害年金受給の3要件』と呼びます。
原則として、この3つの要件のいずれか一つでも満たせない場合は、障害年金を受給することが出来ません。
加入要件
障害年金を受給するためには、初診日において原則『国民年金』『厚生年金』の被保険者(又は共済組合員)であることが必要となります。
被保険者であるということは、その制度に加入していることを表しているため、このことを加入要件といいます。
言い換えれば『国民年金』『厚生年金』『共済組合』加入期間内に初診日があることが原則求められます。(※例外もあります)
障害基礎年金の加入要件
初診日において次のいずれかに該当していること
- 国民年金の被保険者であること
- 国民年金の被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること
障害厚生年金の加入要件
初診日において次に該当していること
- 厚生年金の被保険者であること
障害共済年金の加入要件
初診日において次に該当していること
- 共済組合の被保険者(組合員)であること
保険料納付要件
障害年金を受給するためには、障害年金は保険料を支払った対価として給付される年金であることから、一定以上の保険料の納付等の状況が必要であり、これを保険料納付要件といいます。
初診日の前日の時点での納付状況が問われ、下記の『原則』又は『例外』のどちらかの要件を満たす必要があります。
原則の保険料の納付要件
初診日の前日において、初診日がある月の前々月(2カ月前)までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上であること。
特例の保険料の納付要件
下記のいずれの条件にも該当する場合。
- 初診日が令和8年3月末日までにあること
- 初診日において65歳未満であること
- 初診日の前日において、初診日がある月の前々月(2カ月前)までの直近1年間に保険料未納期間がないこと
初診日が1991年(平成3年)5月1日前の場合
初診日が1991年(平成3年)5月1日前にある場合は取扱いが異なり、保険料納付要件を確認するうえで「月の前々月」とあるのは「月前における直近の基準月(1月、4月、7月、10月)の前月」とすることとされています。
障害の程度(障害状態)要件
障害年金を受給するためには、障害認定日において、国年令、厚年令別表第1・第2に定める程度の障害にあることが必要となります。
「障害認定日」とは、「障害の程度」の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日または1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)をいいます。
障害の程度の認定は下記の「一般的な障害の程度」に加えて「障害等級認定基準」に定めるところにより行うものとされており、障害の程度(障害等級1~3級)は法令により定められています。
一般的な障害の程度
障害の程度1級
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。
障害の程度2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。
障害の程度3級
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。
おわりに
障害年金を受給するには、加入要件、保険料納付要件、障害の程度要件の3つを満たす必要があります。
初診日にどの年金制度に加入していたか、保険料をきちんと納めていたか、そして障害の状態が法令で定められた基準に該当するかが鍵となります。
障害年金はこれらの要件があるため、申請のハードルが高いと感じるかもしれませんが、正しい知識を持つことで道が開けることもあります。

監修:社会保険労務士
岡本卓也
Sen社会保険労務士法人