目次
― 長期の糖尿病による切断障害で、裁定請求段階から適切に認定されたケース ―
1. 基本情報
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年代:50代
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障害の種類:糖尿病性足部壊疽(糖尿病に起因)
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年金の種類:障害基礎年金・障害厚生年金
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受給等級:2級
2. 申請前の状況
申請者様は長年にわたり糖尿病を患っており、足部の循環障害に伴う症状が進行していました。過去には右足指の壊疽により切断手術を受けた経験がありました。
その後、左足に痛みや発熱が出現し、壊疽が急速に進行したため、左大腿切断術を受けることになりました。これにより歩行は義足を用いたリハビリが必要となり、家事や外出、日常動作の多くが制限されました。
切断後の生活は介助が不可欠で、移動の負担や体力低下もあり、これまでの就労を続けることは難しい状態でした。経済的な不安を抱える中、障害年金の申請を決意されました。
3. 申請の経緯
初診日の特定:このケースで重要な課題となったのは、「初診日」の特定と証明でした。
糖尿病は長期にわたる慢性疾患であるため、初診日が何十年も前にさかのぼる場合が多く、本件でも当初受診した医療機関の診療録が既に廃棄されており、直接的な証拠が残っていませんでした。
しかし、請求人様は申請前に複数の医療機関から診断書や受診状況等証明書を取得し、さらに過去の健康診断記録や治療歴を整理しました。これらの資料を総合して、糖尿病の初診日が厚生年金加入期間内であることが示されました。
4. 当事務所のサポート内容
当事務所は、申請時に以下のサポートを行いました。
初診日特定のための調査と証拠整理
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請求人様の長期にわたる治療歴をヒアリングし、古い記録の有無を確認
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廃棄されたカルテに代わり、健診記録や受診証明書、他の医療機関の書類を収集
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これらを時系列で整理し、初診日が厚生年金加入期間内であることを裏付ける証拠を準備
書類作成と審査対応
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診断書の内容が、切断後の生活制限や就労不能の実態を正確に反映しているか確認
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「病歴・就労状況等申立書」には、糖尿病の発症から壊疽の進行、切断後の日常生活への影響をわかりやすく記載
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審査担当者が事案を理解しやすいよう、資料を整理・補足しながら提出
5. 結果と現在の状況
認定結果
初診日が厚生年金加入期間内であると認められ、左大腿切断による障害状態は障害等級2級に該当すると判断されました。初回の裁定請求段階で障害基礎年金および障害厚生年金の受給が決定しました。
受給額(概算)
障害厚生年金は報酬比例部分が加わるため個人の加入歴によって異なりますが、障害基礎年金と合わせると年間でおおよそ100万〜200万円程度の受給が見込まれます。
生活の変化
受給決定により経済的不安が大きく軽減され、今後は安心して治療やリハビリに専念できる環境が整いました。生活の質(QOL)の向上が期待されます。
6. 申請を検討している方へのメッセージ
「障害年金は、病気や障害で生活や仕事が困難になった方にとって、生活を守る大切な制度です。
糖尿病の初診日が昔にさかのぼる場合、証明が難しいと感じるかもしれません。しかし、諦めずに記録を探し、専門家の助言を受けることで、初診日を立証し受給につなげることができます。
一人では困難なことも、社会保険労務士のサポートがあれば道が開けます。障害年金は、治療に集中し安心して生活を送るための大切な支えです。ぜひ専門家に相談し、最適な方法で申請を進めてください。」
