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2019/04/17更新

精神科医のコラム1/8【うつ病の重症化を防ぐにはどうしたら良い?】

うつ病の重症化を防ぐにはどうしたら良い?発症から重症化までをたどる

 

「うつ病になってしまった」今のあなたは、そうやって嘆いているかもしれません。うつ病は、適切に治療すれば治癒することも夢ではありません。自分のとった行動が悪化、さらには重症化に繋がらないようにするにはどうすればいいのか、説明したいと思います。

 

ここでいう「うつ病」というのは、発達障害や人格障害を合併していない「うつ病」だと考えていただければと思います。

 

うつ病は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に良くなっていきます

 

うつ病は、「少し良くなったかな」と思える日があれば、「あれ、今日はしんどい・・・」と感じる日が来る。これを繰り返して徐々に治っていきます。

 

同じところをぐるぐると回っているようですが、少しずつ良くなっているのです。

 

螺旋階段を登っていて、ずっと同じところを回っているようだったのにいつの間にか上についていた、そんな感覚に似ています。

危ないのは少し良くなったと自分で実感できた時

 

うつ病でどん底にいるときには、全く動けないのでかえって問題となるような行動は起きにくいです。

 

危ないのは、「少し良くなったな」「身体が動くようになったな」と思ったときです。

 

そういうときに少しでも死にたい気持ちがあると、身体が動くので本当に死のうとしてしまうかもしれません。

 

「少し良くなったな」と思っても、死にたい気持ちが残っているときは、診察の時に正直に主治医の先生に伝えましょう。

大事なことは自分で判断して薬を調節しないこと

毎日お薬を飲み続けるのは、負担が大きいことだと思います。

 

新しい抗うつ剤が発売されて、寝る前や夕食後1回で良かったり、朝食後1回で良かったり、服用回数は減っています。

 

しかし、「毎日薬を飲むこと」自体が、それまで薬を飲み慣れてない人には苦しいものです。

 

「少し良くなったな」と感じたとき、「もうお薬は飲まなくてもいけるんじゃないか」そう思うかもしれません。

 

でも、その気持ちはぐっとこらえて、次の診察までは決められた通りに薬を飲みましょう。

 

勝手に自分で薬を調節してはいけません。

 

薬を減らして欲しい時はその時期に自分がいるかどうか主治医に相談しよう

 

「お薬を少しでも減らして欲しい」そう思うのは、自然なことだと思います。

 

その気持ちは、きちんと診察の場で伝えましょう。

 

「今のあなたの状態だと、薬を減らすのはまだ早いよ」と言われるかもしれません。

 

「そうだね、少し減らしてみてもいいかもしれないね」と言われるかもしれません。

 

先生の提案は、あなたの納得のいくものでしたか?

 

納得ができなかった場合、納得ができるまで話し合ってください。

 

「なぜ、今、薬を減らすことができないのか」「ここまでしか減らせないのはどうしてか」

 

少し聞いただけではわからないかもしれません。

 

「わかった、じゃあそうしよう」と思えるまで主治医の先生と話をしましょう。

 

それをしないと、自分で勝手に薬を減らしてしまいたくなる誘惑に勝てなくなってしまいます。

 

主治医の先生に「もう、薬は必要ないね」と言われるまで通院と内服を続けることが、うつ病をきっちり治すために必要です。

再発を繰り返すと重症化していく

 

初めてうつ病になった人が、しっかり治療したあと、2回目のうつ病を起こす可能性は50%です。

 

2回目のうつ病を起こした人が、3回目のうつ病を起こす可能性は70%です。

 

3回目のうつ病を起こした人が、4回目のうつ病を起こす可能性はなんと90%です。

 

繰り返すたびに、さらに繰り返す可能性が高くなっていきます。

 

また、しっかり治療しないで症状がずっと長引いていると、仕事や家族など、失うものが多くなってきます。そうするとまた症状が悪くなったりします。

 

すごく死にたい気持ちが大きくなって、とんでもない自殺企図をした、ということだけが重症なのではありません。

 

うつ病を患っている期間が人生で占める割合が増えていくことも、ある意味重症なのだと言えます。

 

病気の勢いというのはありますので、とんでもない自殺企図をするほどの状態になるのを防ぐのは、自分では難しいと思います。

 

でも、うつ病を患っている期間をできるだけ短くすることは、あなたの努力で可能です。

適切に治療を行うことが重症化の一番の予防

 

1回1回のうつ病のエピソードをしっかり治療して、「もうあなたは今回は大丈夫ですね」と言われるまで治療すること、それが人生においてうつ病を患っている期間を短くするためのコツです。

 

中途半端な治療で通院をやめたり、勝手に薬を飲まなくなったりすると、治りきらないままにまた悪くなって、結果的にうつ病である期間が長くなります。

 

2回目、3回目のうつ病の人は、ひょっとすると「あれ、この感じは最初にうつ病になった時と似ている」と思う瞬間があるかもしれません。

 

その時は迷わずクリニックや病院へ予約の電話をしましょう。

 

早めに治療を始めることも、とんでもない自殺企図を起こすほど重症にならないために大事なことです。

元の自分に戻ろうと思わない、目指すのはうつ病になりにくい新しい自分

 

「早く元気だったころの自分に戻りたい」そう考えているかもしれません。

 

でも、その元気だった自分が、うつ病を発症してしまったのではありませんか?

 

元の自分に戻ったら、またうつ病を発症してしまうかもしれません。

 

それでは、なんの解決にもなりませんよね。

 

目指して欲しいのは、「うつ病になりにくい新しい自分」なのです。

 

あなたは、すごく真面目で几帳面なのかもしれません。責任感が人一倍強いのかもしれません。

 

でも、100点を目指す自分を変えられなかったら、やっぱりまたうつ病になってしまうでしょう。

 

100点を目指していた人は、80点の自分で認めてあげられるようになりましょう。

 

80点を目指していた人は、60点でも自分を褒められるようになりましょう。

 

たった20点、そう思うかもしれません。でも、その20点が大事なのです。

 

また、そのためにどう考え方を変えていくか、どう行動を変えていくか、それも主治医の先生に相談してもいいでしょう。

 

あなたがうつ病を繰り返さないことは、主治医の先生も願ってくれています。

使えるサポートは全部使おう、急がば回れ、完全復帰を急がない

 

最近は、一部上場企業のような大手の企業は、復職プログラムが充実していて、こちらからお願いしなくても、プログラムに乗せてくれることがあります。

 

うつ病が良くなったあなたは、すぐに元通りに働きたいと思うかもしれません。

 

でもここで焦りは禁物。

 

復職プログラムにしっかり乗って仕事に復帰していきましょう。

 

「うちは大企業じゃないし、そんなプログラムはないけどどうしたらいいの?」と思う方、ご安心ください。

 

例えばクリニックや病院のデイケアを利用してもいいでしょう。

 

デイケアには、復職支援(リワーク)プログラムを持っているところもあります。

 

会社でリハビリできるわけではないけれど、別の場所で社会復帰のリハビリをさせてくれるところは今、どんどん増えています。

 

もし職場に戻ったとしても、いきなり元通りには働かない方が長続きします。

 

「時間外労働は当面行わない」など、業務を少しずつ元に戻していくように、主治医の先生や精神保健福祉士さんなど、あなたをサポートしてくれる人と相談していきましょう。

 

 

精神科専門医(精神保健指定医)岡田夕子

 

 

いかがでしたか?

うつ病でお悩みの方にとっては参考になる内容も多くあったのではないでしょうか?

うつ病となった時には焦らない事が重要であると思わせる記事でしたね。

うつ病となった際に焦らないようにすることは最も重要な事の一つですが

収入面で不安がある場合は焦るなと言っても焦ってしまいますよね。

障害がある方に対して公的制度うち収入確保ができる制度は障害年金が代表的な制度です。

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気になる方はうつ病の障害年金事例をご参考ください。

 

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